元&現証券マンが記す転職記

元&現証券マンが示す今後のキャリアのカタチ

コツ

みなさんこんばんは。Rです。いよいよ新年度スタートですね!

今年度も皆様にとって、実りある年であるようお祈り申し上げます!

 

さて、今回は営業スキルとは何かを、証券会社ならではのビジネスの観点からみなさんに考えていただけるような話を展開できればと思います。

一口に、転職市場に於いて「私は営業力があります!」と言ったところで、その営業力とは具体的に何であるかは、詰まる所それは人それぞれだと考えます。

しかし、積み上がった経験値としては皆同じような苦労を重ねて来られているでしょうから、本日はその部分について話を深めて参りましょう。

証券のリテール営業を上手にこなすには、「預り資産の拡大」と「持続的な手数料ビジネスの継続」の2点が挙げられます。前者を「ストックビジネス」、後者を「フロービジネス」なんて呼ぶ方もいらっしゃいます。

 

転職される方が主に訴る「営業力」は、何となく前者のストックビジネスについて訴求されるケースが多いように感じます(これまでインタビューしてきた方々も、この点について自身のスキルや忍耐力をアピールされていました)。新規開拓営業にはフロービジネスの観点はあまり必要ないのかもしれません。

 

もちろんこれらのスキルは、証券営業を語る上では必要不可欠と言える存在でしょう。

しかし、お客さま一人一人の金融資産に限度があるように、ストックビジネスも(その限度が如何程であるかはわかりませんが)限度があります。今日証券会社が存続しているのも、フロービジネスがあるからに他なりません。

 

我々リテール営業部隊の利益はまさしく仲介手数料です。取引をしていただいて、手数料をいただきます。

ストックビジネスだと如何でしょうか。例えば、値動きの少ない債券は、その利回りがお客様の利益となるため、一度購入したら、しばらく保有していただくことが一般的です。一方、毎日価格が上下する株式だと、相場が下がってしまう前に利益を確保するために売却しようとします。取引の回数は言うまでもなく、株式の取引の方が多くなります。フロービジネスが大切である所以なのです。

 

そして、フロービジネスはまさしく相場が相手です。

相場は生き物なんて言われるよう、我々は時に相場を利用し、時に裏切られ毎日の営業を組み立てています。

 

ここからが本題です。ここまで読んでいただいた方の中には気づいている方もいらっしゃるかと思いますが、

「じゃあ株が上がっていなければ手数料って上がらないんじゃないですか?」

ということです。

 

一部、信用取引ヘッジファンドなどを介して下げ相場においても利益を上げることも可能ですが、取引をいただいている大部分がいわゆる「現物取引です。買った株が上がらなければ利益を出して現金化できないのです。

 

よって、株が上昇を続けて行きさえすれば、フローのビジネスを比較的有利に進めることができます。

 

お客さまを担当させていただく営業マンの腕の見せ所が、銘柄選択です。

自分の選んだ銘柄を買っていただき、お客様が儲けを出して喜んでいただいて、次の銘柄も買ってもらえるというのが、株式営業におけるフロービジネスで最も理想的な形かもしれません・・・が、そうは問屋が卸さないのが相場という生き物なのです。

勧めた銘柄の株価が下落して、お客様からの信頼を失うこともしばしば。

 

そこで、営業のコツとして、「株式のストックビジネス化」が挙げられます。

発想の転換…と言えば大げさかもしれませんが、短期的な利益を目的とし、売ることを前提としないで株式を提案するということです。いくら買っていただいた銘柄が下落したところで、売らせなければ損は確定しません。損しなければ、お客様も文句は言わない、、、かもしれません。

極論ですが、株式は、売り買いしてナンボ、という固定観念がもしあれば、営業の仕方も少しは変わってくるかもしれません。

 

相場、ないしは担当営業マンの腕次第では多大なるご迷惑をおかけする可能性があるこの仕事ですが、このような発想なしには、生き物である相場を利用して利益を産み続けることは難しいかもしれません。相場が相手のこの仕事だからこそ、身につけられる力もあるかもしれません。

 

転職をお考えの方、そうでない方も、ここでしか身につけられない力を身につけていくことを心掛けられると、市場価値の高い営業マンになれるのではないでしょうか。

相場のせいにする前に、考え方を変えてみることも、大切な力であり、転職の面接などにおいても、アピールできるスキルの一つになり得ると考えられます。

 

ご参考までに。